委員会からのお知らせ

小児頭部外傷検討委員会

小児頭部外傷検討委員会委員長 荒木 尚

小児頭部外傷検討委員会委員長
荒木 尚

「子どもは社会の宝」であり、子ども達が安全かつ健やかに発育を遂げられる環境を作ることは、全ての大人に課せられた責務であります。しかしながら、平成29年度厚生労働省人口動態統計によれば、1-9歳の子どもの死因第二位は依然不慮の事故であり、そのうち頭部外傷は最も致命的な影響を与える因子として認識されています。多くは交通事故や墜落・転落によるものであり、広く再発防止策が検討されている一方、昨今社会的注目を増している痛ましい児童虐待の問題に目を転じると、平成29年度の虐待に関する児童相談所への相談件数は13万件を超え、身体的虐待のうち最も重篤な病態となり得る「頭部外傷」に関する知見は益々重要性を増しています。

近年の脳神経外傷学の発展は目覚ましく、病院前救護の質の向上と外傷初期診療における安全かつ包括的チームアプローチの標準化、更には画像診断の飛躍的な発展が挙げられます。重症頭部外傷の病態の詳細な解明を目指し、手術適応、周術期モニタリング、バイオマーカーなど集中治療に資する新たなパラメータの発見を通じて、より良い神経学的転帰をもたらすための努力がなされています。

かつて「子どもはサイズの小さな大人である」とされていましたが、現在は、心肺蘇生ガイドラインにも見られるように、小児救急疾患への対応は多様な医学的根拠に基づき、年齢の影響に対する考察が求められており、小児の特殊性が注目を集めています。頭部外傷分野においても、小児救急初期対応の発展、小児集中治療室の拡充を受け、成人頭部外傷の知見を単純に踏襲せず小児の病態に応じた治療戦略が求められます。

わが国において軽症から重症まで頭部外傷に苦しむ全ての子ども達とその家族に対して、より専門分化を遂げた知見を提供し、様々な社会構成要素との窓口となり、集約的に科学的議論を展開できるプラットフォームとして日本脳神経外傷学会小児頭部外傷検討委員会は機能したいと思います。


  1. 数千例単位の小規模データベースJNTDBにおける小児頭部外傷の知見を米国、欧州或いはアジアと比較検討し、世界レベルの臨床研究中核の形成に寄与する。
  2. 近年のトピックスである虐待による頭部外傷、スポーツ脳神経外傷(脳振盪)、外傷後高次脳機能障害、低髄液圧症候群を中心に病態への理解と治療法開発を目指す。
  3. Biomarker研究を推進し、救急初療での診断補助や治療方針決定へ寄与する。
  4. 脳神経外傷を負った子ども達の理想的な長期フォローアップを考察し、スムーズなリハビリテーションと復職・復学を推進する。
  5. 国際的に連携し、世界の子ども達の脳神経外傷に関する臨床経験と臨床研究を推進する。

これらの理想を目指した委員会活動を通して、学会員の日常診療に資する情報発信を行いひいては脳神経外傷で治療を受けた子ども達やそのご家族が安心して元の生活に笑顔で戻られるために、全力を尽くして参ります

小児頭部外傷検討委員会名簿

委員長 荒木  尚
担当理事 朴  永銖
委員
  • 阿久津宣行
  • 石崎 竜司
  • 加藤美穂子
  • 刈部  博
  • 末廣 栄一
  • 本多ゆみえ
  • 間瀬 光人
オブザーバー
  • 栗原 まな